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<<   作成日時 : 2008/10/27 11:13   >>

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監督 篠田正浩


20世紀最大のスパイ、ゾルゲ事件を映画化したもの。
ゾルゲ事件とはリヒャルト・ゾルゲをボスとするスパイ団が193
3年から41年まで日本で活動し、日本の国家機密や軍事情報
、在日ドイツ大使館の極秘情報などを入手してソ連赤軍第四本
部諜報総局に通報していた事件。
主要メンバーはゾルゲ(ソ連共産党員でドイツの新聞社特派員)
マックス・クラウゼン(無線技師)ブーケリッチ(フランスの通信社
記者)尾崎秀美(元朝日新聞記者で満鉄の嘱託社員)宮城与徳
(画家で米国共産党員)等である。

尾崎がゾルゲと知り合ったのが朝日新聞上海通信局員の時で
アメリカ人女性ジャーナリストのアグネス・スメドレーの紹介だっ
た。尾崎にはスメドレーの「女一人大地を行く」の翻訳がある。
映画には満州事変後の上海における日本の特務機関による
抗日暴動工作が出てくる。中国への積極介入を策謀する軍部
の意向を受けたものだった。
当時の中国大陸では幾つもの日本の特務機関が暗躍。
アヘン密売、偽造紙幣流布や汪兆銘工作などを行っていた。
日本帝国時代の暗部である。

ゾルゲは「日本のソ連攻撃を中止させて対米戦に誘導する」と
いう重大使命を負って日本に潜入、東京に転勤となった尾崎
と再会する。
尾崎は日本の政界要人と幅広い交友関係を持ち、ゾルゲは
ナチス党員の身分で在日ドイツ大使館に深く侵入する。
八年間にゾルゲ・スパイ団が発信した暗号通信は130回に
達し、内容はニ・ニ六事件、日独伊三国防共協定、独ソ開戦
に関する日本の態度、関東軍の動静、日本の南進政策、日米
開戦前の日本の国力見積りなど当時の日本の国家機密がソ連
側につつ抜けであった。

1941年10月ゾルゲ・スパイ団が検挙される。
スパイ団の暗号を解読し、発信地点を特定したのが発足して
四ヶ月の陸軍省軍事資料部防諜班の移動監視隊であった。
1944年ゾルゲと尾崎、巣鴨拘置所で死刑執行

映画の中のゾルゲは国際共産主義運動と祖国ソ連に忠実な
マルキシストで自己の信条に殉じたスパイとして美化された姿で
描かれている。
だがゾルゲの生活は派手で大変な好色漢でもあった。
当時の在京ドイツ人女性50人の半数と肉体関係があったとも
云われ、その道徳的退廃が指摘されている。そしてロシア人の
妻を捨て日本人女性と二重結婚。
自分の欲望を満たすのにスパイの生活が好都合であったかの
ような印象を受ける。
だが酒と女に耽溺した乱脈な生活は真の目的をカモフラージュ
する偽装で、ゾルゲは四十七人の赤穂浪士たちのように敵を
見事油断させたという解釈もできる。
コミンテルン内部の政治抗争に嫌気がさし、諜報活動を生きがい
としたゾルゲは学者肌の高い知性をもった優秀なスパイであった
が他方悪魔の狡知をもったエゴイストでもあったと云えよう。

ともあれこの映画は歴史の優れた証人になっている。
現代の我々はゾルゲと尾崎等の生き様を通じて当時の帝国主義
植民地支配と軍部フアシズムという歴史の暗部を知ることができ
る。
篠田正浩監督最後の作品となった。

●ヤマ機関
 1937年防諜機関として陸軍大臣直轄の組織「軍事資料部防諜
 班」(通称ヤマ機関)が誕生。
 新宿区若松町に独立した秘密庁舎を持ち、後に表向きの名称が
 「兵務局分室」となるこの組織の存在を知っていたのは陸軍大臣
 、次官、憲兵司令官の三人のみという極秘中の極秘機関であった。
 優秀な人材が集められ、この機関を背後で支えたのが諜報将校を
 養成する陸軍中野学校と諜報器材を開発する陸軍登戸研究所
 だった。
 だが終戦後は「秘密機関の存在や之に伴った万般の秘密事項は
 永遠に抹殺する」方針の下、殺しの専門部署まであったヤマ機関
 は解体される。四百名を超える機関員たちは軍籍を抹消し、それ
 ぞれ全国各地に散って行った。

 映画「陸軍中野学校」で市川雷蔵が演じたスパイ役はヤマ機関の
 諜報員がモデルと云われる。

 参照:斉藤充功「幻の特務機関ヤマ」




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スパイ・ゾルゲ
史実の評価はともかく、日本とソ連の歴史的関係について改めて掘り下げるきっかけにしたい作品です ...続きを見る
映鍵(ei_ken)
2010/09/26 19:54

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